医学の小部屋

コーヒーからポリフェノール

2010/04/26

 動脈硬化の抑制などに効果があるとされるポリフェノール。赤ワインやココアなどに含まれていることは広く知られています。しかし、コーヒーにも赤ワインに匹敵する量のポリフェノールが含まれ、一日の食生活の中で仕事の合間や食後に飲むコーヒーからもっとも多くのポリフェノールが摂取されていることが、ポリフェノール研究の第一人者と知られるお茶の水女子大学院の近藤和雄教授の調査・研究で分かってきました。
 ポリフェノールとは、植物が自身を参加から守るために光合成の過程で作り出す物質です。分子内にフェノール性水酸基(-OH)を複数(ポリ)もつ植物成分の総称なので、「ポリフェノール」と呼ばれています。ポリフェノールは、4000種~7000種あると言われていますが、種類によって、それぞれ作用が異なっています。
 赤ワインやココアなどでよく知られていますが、他にもお茶のカテキン、チョコレートのカカオポリフェノール、フラボノイドなどがあります。
 そして、実は「コーヒー」にも含まれており、豆を焙煎したときの褐色や苦味のもととなっているクロロゲン酸もポリフェノールの一種。コーヒーといえばカフェインが思い浮かびますが、実はポリフェノールの方が含まれる量は多いのです。
 植物が作り出すポリフェノールのような、酸化から自身を守る働きがある物質は、抗酸化作用を持つということから、一般的に「抗酸化物質」と呼ばれています。
 カラダも実は、“錆びている”?ポリフェノールのような「抗酸化物質」が防いでくれる「酸化」とは、金属などが“錆びる”のと同じ現象。実はふだんの人間の身体の中でも酸素を吸うことによって起こっています。人間が生きていく上で、なくてはならない酸素ですが、体内に入った一部の酸素は、スーパーオキシドや過酸素水素などの、体に害を及ぼす「活性酸素」に変化。これら「活性酸素」が細胞を傷つけ、またヒトの細胞に含まれる脂質を酸化して「過酸化脂質」を作るなど、身体に様々なダメージを与えると考えられており、老化やガンの原因の一つとされています。
 ポリフェノールの働きが期待できるのは、摂取後2~3時間程度であるといわれています。ですから、野菜や果物、飲み物で、こまめに摂ることが大切です。おいしく、手軽に、たくさんポリフェノールを摂るには、コーヒーがぴったりですね。

~平成記念病院 内科 佐藤 宏~