医学の小部屋

脂肪と運動

2010/06/11

ジーパンの上にのってしまうほど、下腹あたりに急激に脂肪がつき始めました。食生活は以前と変化ないのですが。現在36歳ですが、年齢のせいなのでしょうか?運動をしていないので、代謝が落ちたせいでしょうか?腹筋をするだけでも改善しますか
こういう悩みは多いと思います。今回は運動についてお話します。
確かに腹筋などは一時的に有効なのですが、内臓脂肪を腹筋で引き締めただけで、根本的に体脂肪が落ちないと皮下脂肪は変わりません。
原因ですが、体脂肪は「INとOUTのバランス」です。
つまり食べた分だけ脂肪はつき、運動や代謝など出ていく分だけ脂肪は落ちていきます。
20歳を過ぎますと女性ホルモンの分泌が落ちてきます。
食生活が変わっていないということは、更なる代謝量を追加しない限り脂肪は燃焼しづらいことになります。
一般的には有酸素運動(軽いランニングや水泳)を20分以上続けたところから脂肪は燃焼してきます。
最初の20分はグルコースを使っているだけなので、脂肪の燃焼には関係が無いのです。この有酸素運動を20分以上、どれだけ続けられるかがポイントになってきます。
しかし、ウエイトロスには注意点があります。毎月の減量は体重の5%以内に抑えることです。急激なダイエットは飢餓のDNAが働き、リバウンドをしてしまいます。
筋肉トレーニングの効果
男性の場合、筋肉トレーニングの効果が筋肉サイズのアップとして現れるのは1ヵ月後くらいです。筋肉の付きにくい女性でも男性と同じ期間で効果が期待できます。ただし、日頃から運動をしてない人は、筋肉が小さくなっており、力が出しにくくなっています。まずは、いきなりたくさんの運動を開始せず、筋肉トレーニングを慣れるところから初めてみましょう。女性の場合、筋肉トレーニングを開始して効果を感じ始めるのは、早くて1ヵ月後以降、通常で2ヵ月後からと思っておいてください
とっつきやすいのは、なんといってもウォーキングです。
1万歩ぐらい歩くと、約300キロカロリー消費します。効果はそれだけではなく、1万歩前後歩いた時に、血中の善玉コレステロールの割合が上昇するといわれています。善玉コレステロールは、血管の壁についた悪玉コレステロールを肝臓へと運ぶ働きをします。
「カロリス」。
カロリスとはカロリー・リストリクションの略で、つまり食事の摂取制限をすること。つまり、カロリー制限すなわちダイエットは老化の防止につながるという報告が最近話題となり、アンチエイジング研究界で大きな注目を集めています。次回、カロリスについてお話しましょう。

~平成記念病院 内科 佐藤 宏~