医学の小部屋

がん検診について

2012/03/12

 現在、日本では約35万人の人ががんで亡くなっています。死亡原因の第1位を占めるようになりました。がんで患うのは男性で2人に1人、女性で3人に1人と言われています。
 早期発見こそが最善のがん対策と考えられます。現在、がん検診として、胃カメラは年1回、大腸内視鏡検査、女性の乳がんや子宮がんは2~3年に1回検査が勧められています。がん検診は、がんの予防及び早期発見のために重要です。がん検診については、健康増進法(平成14年法律第103号)第19条の2に基づく健康増進事業として市町村が実施しています。厚生労働省では、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」(厚生労働省健康局長通知)を定め、同指針に基づく検診を推進しています。主な腫瘍マーカーとして、CA125(卵巣がん)、CA19-9(膵臓がん、卵巣がん、)、CEA(大腸がん)、α-フェトプロテイン[AFP](肝臓がん)、その他の腫瘍マーカーがあります。しかし腫瘍マーカーは、一般にがんが大きなるほど体内でその量が増えますが、早期のがんではほとんど見られません。また、腫瘍マーカーが基準値を超えていても、すぐにがんの存在を意味するものではありません。良性の腫瘍や慢性肝障害、腎障害、呼吸器の慢性炎症、高血糖などの病気でも強い反応を示すことがあるからです。

 がんであっても、ある程度大きくなるまでは腫瘍マーカーの血中レベルは基準値を超えない場合もあり、腫瘍マーカーだけでがんの診断をすることは困難だといえます。その他の血液検査、Ⅹ線やCT、血液造影などの画像診断、生検などを組み合わせて総合的に診断する必要があります。したがって、がん検診は血液マーカー、画像診断を組み合わせて行う必要があるのです。
 近年、PET-CTという全身のCT検査もあります。このCTである程度の大きさのがんを発見できると言われています。現在は高価な検査であり、一般検査として普及していませんが、いずれ、がん検診の主な検査になると思われます。

~ 内科 佐藤 宏 ~