医学の小部屋

コエンザイムQ10

2011/04/18

 病気や老化の原因の一つとして、酸化ストレス説が有名です。生体成分が酸素による傷害を受けるという説です。
 まず、最初に酸化ストレスの研究はDNAが酸化されてできる、8-ヒドロキシルグアニン、チミングリコールが発見されたことから、研究に火がつきました。しかもそのレベルはより短命である代謝速度の速い、すなわち酸素消費速度の大きな動物で高値でした。
 次に酸化ストレスで最初に減少する抗酸化物質は何か、すなわち何が最も重要な抗酸化物質かという問題が出てきました。結論は、ビタミンCと還元型コエンザイムQ10でした。したがって、酸化ストレスマーカーとしてはビタミンCと還元型コエンザイムQ10に注目すべきということになります。
 還元型コエンザイムQ10は酸化の進行とともに酸化型コエンザイムQ10に変化します。酸化型と還元型コエンザイムQ10を同時に計測できる機器で計ってみると肝炎、肝硬変、肝癌、心筋梗塞、COPD、パーキンソン症候群などの患者さんの酸化型の割合が正常人に比較して高値であることがわかりました。
 健康長寿に役立つ物質として次のような条件を満たすものがふさわしいと考えます。すなわち、生命活動に欠かせない重要な物質であるが、加齢とともに細胞から失われる、しかし、サプリメントなどで補給でき、副作用のないもの。まさに、コエンザイムQ10こそふさわしいと思われます。コエンザイムQ10は多くの臓器で、加齢とともに減少します。心臓では20代でピークとなり、40代で30%、80代で50%以上が失われます。
 日本でも2001年からサプリメントとして服用することが可能となり、リピート率が非常に高いことで有名です。

~平成記念病院 内科 佐藤 宏~