医学の小部屋

血管年齢、測ってみませんか ~脈波伝播速度Pulse Wave Velocity(PWV)~

2007/07/17

 動脈硬化が心筋梗塞や脳梗塞のリスクファクターであることは広く知られています。動脈硬化の検査としては、血管の形態的変化(壁の肥厚、狭窄など)を評価する頚動脈超音波法がよく用いられていますが、近年、血管の機能的変化(しなやかさ)を評価する脈波伝播速度Pulse Wave Velocity(PWV)の測定が急速に普及しています。
 PWVとは、一回の心拍動に伴って血管に生じる拍動が末梢まで進むときの速度であり、血管壁が厚いほど、内腔が狭いほど、壁の伸展性が低いほど、つまり血管が硬くなるほど速くなります。すなわち、PWVは動脈の“しなやかさ”の定量的指標であり、PWVが低いほど血管が“若い”ということになります。
 高血圧症、糖尿病、高脂血症などは動脈硬化を悪化させる因子ですが、これらの疾患があるとPWVも上昇することが知られています。また、運動や薬物治療などによりこれらの疾患が改善するとともに、PWVの改善も認められると報告されています。つまり、PWVは生活習慣病やメタボリックシンドロームの状態評価や、治療効果の指標としても大変有用なのです。
 さて実際の検査方法ですが、上腕と足首にカフを巻いて、仰向けの状態で測定します。検査時間も5分~10分ほどですし、痛みも無く安全な検査です。当院では2007年4月よりこの検査を実施しています。 内科の受診料と検査料を合わせて、1000円程度です。(3割負担の場合)
 特に生活習慣病やメタボリックシンドロームで治療中の方は、一度この検査をされてみてはいかがでしょうか?PWVが改善して血管が“若返った”ことが目に見えて分かれば、食事療法や運動にもますます積極的になれるかも知れませんね。

平成記念病院内科  花田 梢