医学の小部屋

老化危険因子の改善

2011/05/16

 アンチエイジングの実際には、老化度の改善を図る方法と老化危険因子の改善が考えられます。老化度の改善といっても、簡単ではなく、筋年齢、血管年齢、神経年齢、ホルモン年齢、骨年齢に対する対策が必要となります。

 筋年齢についてはアミノ酸やプロテインの摂取、血管年齢についてはカリウム、マグネシウム摂取制限、減塩のほかGABAの摂取があります。神経年齢に良い影響をもたらすものとしてフォスファチジルセリンやレシチン、EPA、DHA、L-カルニチンがあげられます。ホルモン年齢に対しては、大豆イソフラボンはそのエストロゲン用作用から女性に良いといわれています。また、牛乳やヨーグルトにはメラトニン前駆物質のトリプトファンが豊富であるといわれています。骨年齢に対してはミネラル摂取とビタミンD,K,B,Cが重要です。また、グルコサミン、コンドロイチン硫酸の関節保護作用も重要です。

 このようにあげていくと、老化度の改善には、あまりに多くの物質(サプリメント)が必要であり、とても実用的とは考えられません。

 そういった意味で、老化危険因子の改善のほうがより実際的と考えられます。
 まず、免疫機能改善については、野菜、果物、海草、しいたけなどの摂取の多いほうが癌の発症率は低いとされます。食物繊維は大腸粘膜を刺激し、蠕動亢進を促しますし、ビフィズス菌などの善玉菌を増やし、大腸癌を抑制します。
 酸化ストレスについては、コエンザイムQ10、ビタミンA、Cやブドウのアントシアニンやお茶のカテキンが有用です。心身ストレスについては玄米などに含まれるGABAやセントジョンズワートはACTH抑制を介し抗ストレス作用を示します。

 ここまで、簡単に触れましたが、サブリメント療法は健康増進の目的としては現時点では医学的には不十分です。しかし、十分にその効果が健康には反映される可能性があり、今後、医療者側もデータの蓄積を目指す必要があり、日本でも欧米並みに発展させる必要があると思われます。

~平成記念病院 内科 佐藤 宏~