健康だより

食べ物とくすり

2009/02/05

 ある薬と別の薬が互いに影響して作用が強くなったり弱くなったり、あるいは別の作用が起きることがあります。これを薬物の相互作用といい、充分に注意を払う必要があります。薬物治療を受けていらっしゃる皆さんも薬の飲み合わせは気になる事のひとつでしょう。
 薬と薬だけでなく、薬は食品、健康食品、サプリメント、喫煙などとも相互作用を起こすことがあります。今回は薬と食品の相互作用を何例か紹介します。

 

○ グレープフルーツとカルシウム拮抗薬

 グレープフルーツと高血圧治療薬の一種であるカルシウム拮抗薬を併用すると、薬の血液中の濃度が上昇し、過度に血圧が下がることがあるのは多くの方がご存じと思います。グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類という物質が、腸でのカルシウム拮抗薬の分解を阻害するために血中濃度が高くなります。カルシウム拮抗薬のなかでも「アダラート」、「ワソラン」、「ランデル」、「カルブロック」などはグレープフルーツとの併用で、血中濃度が1.5~3倍に上昇することがあるので特に注意が必要です。グレープフルーツ以外にもスイーティー、文旦などの柑橘類にも同じ作用があるそうなのでご注意ください。みかんやオレンジにはそのような作用はないようですので安心して召し上がってください。
  カルシウム拮抗薬以外にもグレープフルーツで血中濃度が高くなる薬があります。(下表参照)

みかんは大丈夫!!

 

○ 納豆とワーファリン

 不整脈や血栓症などの病気の方に処方される「ワーファリン」という抗凝固薬があります。「ワーファリン」は血管内での血液の凝固に関わるビタミンKに拮抗して血液を固まりにくくし、血栓などができるのを防いだり、治療する薬です。当然のことですが、ビタミンKを多く含む食品を摂ると抗凝固作用が弱くなってしまいます。大豆を納豆菌で発酵させて作る納豆は、それ自体がビタミンKを多く含むばかりか、納豆菌が腸内でビタミンKを作り出すため「ワーファリン」服用中の方は制限される食品です。同じ大豆でも納豆菌で発酵させない味噌や、豆腐、きな粉、煮豆などはそう多くビタミンKを含むわけではないので、食べても大丈夫な食品です。
 納豆以外では、クロレラ、青汁がビタミンKを多く含むため避けなくてはいけない食品です。パセリ、ブロッコリー、ほうれん草などの緑黄色野菜も比較的多くのビタミンKを含みますが、一度に大量を摂ったりしなければ食べてよい食品です。栄養的にもある程度は摂取すべきです。
 ビタミンKはワーファリンとの相性は悪いのですが、骨粗鬆症の予防や治療では重要な存在です。

 

○ 食品と薬の相互作用

※ 食べ物と薬の相互作用の一部を紹介しました。併用は避けるべき場合もありますが、時間をずらせば大丈夫な組み合わせ、摂取量が少なく問題とならない場合などもありますので、自己判断で薬を止めたり、減らして飲んだりしないでください。詳しいことは薬剤師にご相談ください。

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