健康だより

骨粗鬆症の薬

2016/02/10

1.骨粗鬆症とは
 骨粗鬆症は骨の量が減り、骨の質も低下してもろくなり、骨折の危険性が高まる病気です。骨では常に骨の吸収(骨を壊す働き)と骨の形成(骨を作る働き)という新陳代謝が行われ、古い骨と新しい骨が入れ替わっていますが、そのバランスが崩れることで起こります。原因は様々ですが、特に閉経後の女性では、骨の新陳代謝で重要な働きをする女性ホルモンが急激に減少するので注意が必要です。
 骨粗鬆症は自覚症状のないまま進んでいきますが、ちょっとしたことで骨折しやすくなります。骨折は寝たきりの原因ともなります。若いころより2cm以上身長が縮んでいたら要注意です。一度検査を受けてみましょう。

2.骨粗鬆症の治療
 食事でカルシウムを積極的に摂る、運動と日光浴を行うなど、骨量を増やす生活習慣を心がけます。症状が進んでいる場合は薬での治療も行います。

3.代表的な骨粗鬆症の治療薬をご紹介します。骨密度1 

無題
食事だけではカルシウムが不足するときに用います。

骨密度3
ビタミンDが不足している人に有効です。食べ物のカルシウムが腸から吸収されるのを助け、骨の代謝を活発にします。副作用として血液中のカルシウムが増え過ぎることがありますので、医師の指示に従って服用しましょう。

ビスホス
骨吸収を抑え、骨密度を高くします。飲み薬と注射があります。
食べ物と一緒に摂ると吸収が悪くなるので、朝食の1時間から30分前までに飲む必要があります。また、服用時は180mLと多めの水を飲むことや、服用後、30分間は体を横にしないなどの制限があってやや不便です。そのため毎日服用するタイプの他に、週1回あるいは月1回飲めばよい薬も開発されました。注射は月1回行います。
歯科の治療を受ける場合は休薬が必要となる場合があります。

エストロゲン
低下した女性ホルモンのエストロゲンをおぎないます。エストロゲンは骨を壊す細胞を抑制し、骨がもろくなるのを防ぎます。乳腺や子宮などに対する作用もあるため、副作用があらわれることがあります。

サーム
骨に対しては女性ホルモンの様な働きをします。骨吸収を抑え、骨密度を高くします。従来の女性ホルモン療法に比べ、乳腺や子宮への影響は少ないタイプです。閉経後骨粗鬆症に用いられます。

デノスマブ
骨を壊す細胞の活性化を抑えて骨密度を高くします。半年に1回注射します。低カルシウム血症を防ぐためにビタミンD3薬やカルシウムカルシウム薬を併用する場合があります。

副甲状腺
骨をつくる細胞を活性化して骨密度を高くし、骨折を防ぎます。週1回、医療機関で注射を受けるタイプと毎日自分で注射するタイプがあります。骨折の危険性の高い骨粗しょう症で用いられます。

年齢、性別、骨粗鬆症のタイプにより適した薬が異なります。主治医の先生とよく相談してご自分の症状に最適な治療を受けましょう。

    イラスト  平成28年2月 薬局